酒粕は、日本酒を製造する過程で残るものです。
いわば副産物というわけですが、原料であるお米本来の栄養素はもちろんのこと、発酵させる間に爆発的に増える栄養素が残っていることから、酒粕はさまざまな用途に使われています。
スーパーフードとは非常に高い栄養価を持つ食べ物のことですが、酒粕は、アマランサスやチアシード、アサイーなどと並んで日本が誇るスーパーフードだといって良いでしょう。
酒粕は、健康のために食材として使われる他、美容効果も高いことから石鹸や化粧水、フェイスパック、入浴剤といったコスメにもよく使われています。
酒粕の持つ驚異の美容効果とは?
酒粕に含まれている栄養素はさまざまなものがあります。
人の体を作る上で欠かすことのできないタンパク質や糖質をエネルギーに変換させるビタミンB1、美しい髪や皮膚を作るとともに疲労回復をサボートするビタミンB2などが代表的な栄養素といって良いでしょう。
この他にも、ビタミンB6やパントテン酸、カルシウム、食物繊維、マグネシウムなど、数えきれないくらいの栄養素が含まれています。
そんなスーパーフードである酒粕が持つ美容効果は、保湿作用や抗炎症作用、美白作用、美肌作用などさまざまなものがあります。
例えば、原料であるお米にもともと含まれるリノール酸は肌の保水機能を高めてしっとりとさせて乾燥を防いでくれる効果があります。
また、ドーパクロムと呼ばれる成分はシミやそばかすを作るメラニン色素のもとですが、リノール酸はこのドーパクロムが作られるのを阻害してくれることから優れた美白効果もあります。
そして、毛穴をゆるめて中に詰まった老廃物を排出させる作用もあるので、美肌作りにも一役かってくれるのです。
また、酒粕の美容効果といえば美白成分として多くの化粧品に使われているコウジ酸を見逃すことはできません。
コウジ酸は1907年に日本人により発見され、農芸化学者、藪田貞治郎がコウジ酸に関する論文を発表しています。
日本酒を製造する職人たちの手が、過酷な労働にも関わらず驚くほど白く美しかったことがきっかけとなり、材料である麹からコウジ酸が発見されたのだといわれています。
その後もコウジ酸の研究がすすめられ、現在では多くの化粧品メーカーから美白効果をうたった化粧品の原料に使われることとなったわけです。
シミやそばかすのもとであるメラニン色素は、有害な紫外線が皮膚の奥まで侵入してしまうのを防ぐためにできるものです。
しかし、あまりにも過剰に生産されたり、ターンオーバーが遅れて肌に蓄積されたままでいると、シミ・そばかすとなって残ってしまいます。
そして、このメラニン色素が生産される際には酵素チロシナーゼという成分が欠かせません。
コウシ酸は、この酵素チロシナーゼの働きをストップさせることで、強力に美白効果を発揮するのです。
コウジ酸は、1988年に厚生労働省により美白成分の認可を受けています。
皮膚科で処方される美白クリームといえばハイドロキシン配合のものが有名ですが、コウジ酸はこのハイドロキシンに代わって使われることもあるほど優れた美白作用を持っているのです。
酒粕を使った石鹸のメリットとは?
このようにたくさんの美容効果を持つ酒粕は、多めに買っておけばさまざまな用途に使うことができます。
食材として使うのはもちろんのこと、石鹸などのコスメを手作りするのも良いのではないでしょうか。
市販の化粧品では刺激を感じるという敏感肌の人でも、余計なものが一切入ってない安心安全の石鹸を作ることができます。
しかも、酒粕なら、安心なだけではなく優れた美容効果まで得られてしまいます。
特に、市販の石鹸には、酸化防止剤が含まれているものも少なくありません。
手作り石鹸は泡立ちの良さという点ではイマイチかもしれませんが、肌にやさしい成分のみで作られた石鹸を使うのは美肌への第一歩といっても良いでしょう。
酒粕を使った手作り石鹸レシピ
石鹸は、油脂と水分を水酸化ナトリウムで中和させて出来上がります。
油脂はさまざまなものが使えますが、しっとり感を味わえるオリーブオイルや、泡立ちをよくするココナッツオイル、肌馴染みの良いマカダミアナッツオイル、万人受けのするスイートアーモンドオイルなどが良いでしょう。
また、水分は不純物を含んでいない精製水を使い、ドラッグストアなどで苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を入手します。
苛性ソーダを購入する際には印鑑や身分証明書が必要となることもあり、取り扱いには十分な注意が必要です。
そして、香りづけとして油脂の1%程度、エッセンシャルオイルを添加するのもおすすめです。
万能といわれるほど多くの効能を持つラベンダーや、アトピーの人でも安心のカモミール、にきび対策もできるペパーミント、美肌効果のあるローズヒップなど、好みで選んでみましょう。
作り方の基本は、苛性ソーダに精製水を加えて溶かして熱を冷まし、油脂に冷ました苛性ソーダをゆっくりと注ぎ入れ、泡立て器でまぜて型に入れて固めるという方法です。型は、使い終わった牛乳パックをきれいに洗ったものなどでも代用できます。
酒粕は、この過程のどのタイミングで加えるかによって出来栄えなどが違います。
まずは酒粕のアルコール分をしっかり飛ばしましょう。
アルコールは熱を加えると抜けるので、電子レンジでチンすれば簡単です。
タイミングの一つ目は、苛性ソーダを加える前に油脂に混ぜ込む方法です。
その際、粒が残らないようにしっかりと撹拌するのがコツです。
二つ目は、少量の水で溶いてペースト状にしてから苛性ソーダを加えた油脂に混ぜ込んでいく方法です。
酒粕を先に混ぜ込むと成型されるのが早いので、初心者は後から混ぜ込むとキレイな石鹸が出来上がります。
手作り酒粕石鹸で美しくなろう
せっかく日本人として生まれたからには、スーパーフード酒粕の恩恵を余すことなく享受したいものです。
まとめて購入したら、食べ物に使うだけではなく、手作りコスメを作って美しくなってしまいましょう。
ただし、石鹸を手作りする際には、酒粕の持つ優れた成分が日を追うごとに少なくなっていってしまうので、あまりたくさん作り置きするのは控え、早めに使い切るようにします。
コメントを残す