近年、日本酒や酒粕の美容効果が見直されるようになり、日本酒で作った化粧水や大吟醸の酒粕で作ったパックなどが話題を集めています。
酒粕のすばらしさは美容効果だけではありません。
便秘解消やダイエット効果があり、血圧を下げ、糖尿病・がん・骨粗しょう症を予防してくれ、アレルギー体質まで改善してくれると期待されています。
美容や健康に良い酒粕の栄養素を毎日摂り入れるため、酒粕で漬物=粕漬を自分で作ってみませんか。
酒粕で作る漬物のレシピは意外に簡単です。
酒粕を漬物で取り入れたほうが良い理由とは?
蒸した白米に麹菌(こうじきん)を振りかけると、新陳代謝をアップさせるビタミンB類やパントテン酸などが作り出されます。
日本酒と酒粕はこの米麹にさらに酵母菌を加えたダブル発酵で作られるので、日本酒にも日本酒の搾りかすである酒粕にも新陳代謝や免疫力アップに欠かせない酵素がたくさん含まれているのです。
ところが、酵素は熱に弱く、70℃まで加熱してしまうとほとんどみんな死んでしまいます。
酵素も含む酒粕の栄養をもれなく摂り入れたいのであれば、酒粕汁にするよりも、加熱しないでも食べられる漬物がおすすめです。
酒粕には加熱しても残る美容成分がある
酒粕がダイエットや美容に効果があると言われるのは、酒粕に多く含まれるタンパク質の働きによります。
米に含まれるタンパク質は動物性のタンパク質よりも消化しにくいのが特徴で、食物繊維のように便の量を増やして腸の動きを活発にさせる働きをします。
しかも、余分な脂質と出会うと吸いつけて巻き込むので、腸の中での便の動きを滑らかにする作用もあります。
この働きは加熱しても壊れません。
実は日本酒の元になる白ごはんにも植物性のタンパク質が100g中2.5g含まれていて、酒を作る工程で凝縮され、酒粕になる頃には約6倍の14.9gに増えます。
酒粕に含まれるタンパク質は、酒が発酵する過程で酵素により分解されて体に吸収されやすくなっていますから、6倍以上の働きをしてくれます。
漬物を自分で作ろう!酒粕床の基本レシピ
【材料】
- 市販の酒粕 100g
- 焼酎 50cc
焼酎は雑菌繁殖防止に使うので、アルコール度数の高い本みりんなどでも代用できます。
【作り方】
<1>酒粕と焼酎を耐熱容器に入れ、電子レンジで約40秒加熱します。
<2>酒と酒粕をかき混ぜてペースト状にします。
※酵素は生きていますから、温かめのほうが働きが活発になるのですが、42℃を超えるあたりから死んでしまうものが出始めます。電子レンジで加熱する際は、酒や酒粕の温度が熱めのお風呂の温度より高くならないように注意してください。
漬物を自分で作ろう!酒粕床の基本レシピ~漬け方
<1>漬けこむ食材をきれいに洗い、水分をよく切ります。
※食材の水切りが十分ではないと、粕床のアルコールが薄まって粕床が傷みすくなります。
<2>漬けこむ食材全体に粕床の酒粕をまぶしてから粕床に沈めます。
※漬けこみ時間の基本は一晩程度ですが、4時間ほど漬けこんだら食べ始めることができます。漬けこむ時間は好みで変えてください。
※粕漬がおいしくなるのは酒粕の酵素の働きによります。雑菌が繁殖しにくく、酵素だけが元気に働ける温度は20~25℃です。粕床は冷蔵庫ではなく、室内の直射日光が当たらない涼しいところに置きましょう。
※酸っぱい匂いがしてきたら、粕床が痛み始めているサインです。もったいないと思わずに新しい粕床を作りましょう。
<3>漬けこんだ食材を取り出し、水洗いはせずにそのままいただきます。
※食材に付いている酒粕の中にも酵素がたくさん含まれています。水洗いすると、酵素が減ってしまいますので、余分な酒粕を手で軽く拭い、食べやすい大きさに切るだけでお皿に並べるのがお勧めです。
酒粕に漬けるとおいしい食材とは?
野菜:食材を食べやすい大きさに切ってから、塩をすりこんでおきます。出てきた水分を切ってから粕床に漬けましょう。生で食べられないほど固い野菜は、ゆでてから酒粕に漬けるとおいしいです。翌日から1週間以内が食べ頃です。
生の魚やお肉:食材に塩を振って30分ほどなじませ、出てきた水分をキッチンペーパーでふき取ってから粕床に漬けます。焼いて食べる場合は、翌日から1週間以内が食べ頃です。あまり漬け過ぎると魚や肉が固くなったり、味が濃すぎておいしくないこともあります。食中毒を防ぐため、生で食べる野菜などを漬ける粕床と加熱してから食べる食材を入れる粕床は別にしましょう。
するめ:するめは食べやすい大きさに割くか、ハサミで切ってから粕床に漬けます。半日も漬ければ、うまみがアップするだけでなく、柔らかくもなりますから、するめが好きだったけれど、年を取って食べにくくなった人にもおすすめです。
マシュマロ:テレビで紹介された意外な組み合わせのレシピです。4時間ほど粕床に漬けこんだものは、マシュマロの味に日本酒の風味がプラスされて、甘さ控えめの甘酒のような味がすると言います。さらに一晩寝かせると、マシュマロの味が酒粕の上品な甘さと入れ替わり、口の中でしゅわしゅわと溶けていく感じがたまらなくおいしいというレポートもあります。アルコール臭くはないのですが、梅酒と合う大人の味だという意見もあります。一度お試しください。
漬物を自分で作ろう!アルコールが苦手な人向け酒粕床レシピ
アルコールが苦手な人は、粕床を作る際にアルコールではなく、ぬるま湯を加えるレシピもあります。
常温の水に細かくちぎった酒粕を加え、電子レンジで40秒ほど加熱してから、ペースト状になるまでかき混ぜれば出来上がりです。
アルコールを混ぜた粕床は上手に使えば半年は使えますが、水で作った粕床は雑菌が繁殖しやすいので、1回ずつの使い切りにするのがおすすめです。
酒粕の漬物で内面から美しくなろう
野菜を酢や塩で漬けるよりも、酒粕で漬けた方がうまみが増しますし、食材が柔らかくなって食べやすくなります。
もっと嬉しいことに、酒粕の漬物を毎日食べれば、美容や健康にも良い酵素をたくさん補給することもできるのです。
残念ながら、体内の酵素は年齢とともに減っていきます。いつまでも若々しく健康であり続けるために、酒粕の漬物を活用しましょう。